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ハノーバー・ストリート/哀愁の街かどのtjZeroのレビュー・感想・評価

4.0
第2次大戦下のメロドラマ、と聞いていたので監督が(活劇の印象が強い)ピーター・ハイアムズとは意外だった。しかも脚本も自作。
ロンドンに赴任中の米軍パイロット(ハリソン・フォード)と現地の看護師(レスリー=アン・ダウン)が出逢い、恋におちる前半はクラシックな味わいで雰囲気よし。不倫モノにありがちなドロドロした脂身は皆無。
そして後半、主人公が彼女の夫と図らずもチームを組んでナチスの本部に忍びこみ、機密文書をさらって逃亡する場面はハイアムズ監督のいよいよ本領発揮。キビキビとした演出で、潜入と脱出のサスペンス&アクションを手際よく描く。『大脱走』ばりのバイク・アクションがあるのも楽しい。ホントにこの監督は、チェイス場面を演出するのが巧い。
ヒロインの夫役のクリストファー・プラマーも、こうした物語にありがちな”寝取られて当然なつまらない男”ではなく、ちゃんと誠実で魅力ある人物として描かれているのも後味がいい。
”道ならぬ恋”を描いているのに、とても清々しく、折り目正しい端整な印象。これから秋に向けて、ラヴ・ストーリーの隠れた逸品をお探しのかたにおススメしたい。
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