安堵霊タラコフスキー

地獄の英雄の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

地獄の英雄(1951年製作の映画)
3.8
まだサスペンスを主に撮っていた頃のビリー・ワイルダーのこの作品、映像的にはともかく結構皮肉の効いた内容は嫌いじゃなかった。

というのも、最初は大して映画的な面白味に欠けて退屈感を覚えたのだけど、カーク・ダグラスらが出先で事故現場に出くわしてからようやく映画にも興味を持ち始めて、しかしその気持ちもまるで事故の記事が書けると目を輝かせるカーク・ダグラスや記事を見てから現場に押し寄せる野次馬らと似たもののように思え、映画に出来事を求める心情を登場人物らにダブらせられたようで心憎い。(やはり事件に惹かれるのは人間の性なのか)

さすがに現場に観覧車ができる程に盛り上がるのはやり過ぎなんじゃないかとは思ったけれども、一刻を争うくらい切迫した事故現場との対比的雰囲気になっていたし、終盤の虚しさを際立たせるのにも効果的ではあったと思う。

同じカーク・ダグラス主演の作品としては同年の探偵物語よりも好みの作品だった。