どうしようもない暴力非行少年であったアレックスが、政府の非人道的な治療により全く非行が行えない体に治される。しかしアレックスは、あまりの苦痛に耐え切れず自殺未遂を図るようになった。その結果政府に批判が殺到し、再度治療により元の体に戻されるという作品。
過激な内容ではあるがビジュアルが非常に刺さる映画であった。
ミルクバー、家のインテリア、レコードショップ、ファッション、どこを取ってもドストライク。クラシックやオールディーズの流れるタイミングも最高。
内容が終始過激であるが故に思わず目を背けてしまうシーンがいくつもあったが、芸術点は満点。
独特な雰囲気とカメラワークが視聴者の興味を誘う感じ。
また内容としても考えさせられるところがある。
この作品には様々な悪人が登場する。悪を矯正する為に行った治療自体が非人道的で悪であったり、悪への仕返しがまた悪であったり...
結局のところ「悪」とは何なのかという疑問が残る。そして、どんなにまともな人間であっても多少なりとも悪い部分は持ち合わせているのだということを訴えたいのではないかと考える。
人間は皆自分が1番であり、自分の都合が良いようにその都度悪を利用する。人間の醜い部分を隠すことなく、悪がはびこり許される世の中を皮肉に描いた作品であったと感じた。
