ソニこう

時計じかけのオレンジのソニこうのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.5
★あらゆる"暴力"を剥き出しに描いた問題作!

殺人やレイプを楽しんでいた犯罪者が、聖人君主に矯正させられた後の悲劇。

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ひどく暴力的なシーンが冒頭から続く。この映画に感化されたイギリス人若者が、次々に犯罪へと手を染めていったのも頷けるほど。

この映画から痛いほど伝わってくるのは「暴力の無益さ」、そして「善悪の判断能力なしに、善人になることはできない」というメッセージだ。

主人公は暴力に快楽を得ていた非行青年。殺人罪で懲役中、ある心理療法をうけて善人へと矯正させられる。

その心理療法とは、苦痛をもたらす薬を主人公に投与した後、暴力的な内容の映画を鑑賞させる。その繰り返しによって、「暴力的行為を想像しただけで苦痛を感じる体質へと矯正させる」というもの。

その結果、暴力は一切起こさなくなった。しかし、内なる彼の「暴力がしたい」という衝動は変わっておらず、意思と体の矛盾に苦しむことになる。

「時計じかけのオレンジ」とは「表面上はまともだが、中身はかなり変」という意味合いらしい。これはまさに主人公のことだ。内側から変わらなければ、人は生まれ変われないんだと分かった。
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