Apr 13th
Stanley Kubrick監督・脚本作品
俺は完全に治った。
芸術的な作品とはこういうものを言うのか!!
もうKubrickの作品を導入する上ではこの上ない作品なんじゃないかと思う。めちゃくちゃおもしろかったし、笑えた!こんな映画で眠たいなんて思える方がおかしいぐらい。
ディストピアクライム映画。まぁその名の通り、強烈な風刺を含んだ映画ですね。ストーリーだけ聞くと、犯罪を犯す若者たちが悪いような印象を受けるし、それが一般的な思考だと思う。しかし、映画を見ると全然。あきらかにそっちが正当化されている。しかも、観客たちがそちら側に立っているのではなく、観客自身も批判されているような気分になる。この構図が風刺としてはとても有効だった。広い目で見れば、暴力かなり強いし、性描写も過激なものがあるから、不快に思われるかもしれない。しかし、ちゃんと映画を通してみれば、何がテーマで何と何の葛藤を描いているのかがはっきり見えてくる。
ここまでは、原作の力。しかしここからKubrickの本性が現れる。スタートから世界観ぶっ飛んでるんですよね。さらに、意味わからない若者言葉が使われて、全然ついていけない。しかし、ストーリーに自分は追いついていっているのがとても不思議。最初の設定の導入のペースはかなりゆっくりで、少し長いぐらいだが、ここで彼とJohn Alcottの出番。まるで美術館の絵を一枚一枚見ているかのようなフレーミング。一つのフレームを長回しでつかうから、なおさらいろんなところに目線を移せる。シンメトリックなコンポジションと、幾何学的なカメラムーブメント。シンボリスティックなプロップ。見ていて面白いし、ワクワクする。次どんなのが来るんだろうって期待してしまう自分がいる。警察に捕まってから、急にギアを上げてストーリーが進んでいく、現代社会に警笛を鳴らすように、強烈な風刺がコメディ込みで進んでいく。いまみても、何をいってるのかわかるから怖い。時折出てくる神の御言葉てきなものがまたずばっと現実に目を覚まさせてくれる。それは、神父様だったり、部屋を借りてる人だったり、ホームレスのおじさんだったり。最後にまた別の風刺をピリッと入れてきてエンディング。うんきれい。
やっぱ35mmは綺麗に撮れるんだねー。今見ても全然色褪せない感じがすごい。一番好きなシーンは刑務所を出て家に帰ってきたシーン。異常に生命感に溢れているあのシーンが一番異常なシーンに感じた。あえて目をフォーカスから外したり、あえてカメラアングルを変えずにとったり、家族という関係がこの映画のかなり遠くにあり、めちゃくちゃ印象に残ったシーンだった。
つぎのKubrick作品見るのが楽しみになってきた!