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時計じかけのオレンジのdeenityのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.0
映画好きの人に勧められた第二弾。キューブリックの名作中の名作。この作品はさすがに見たことはあったのだけど、映画にハマり出した頃に見たのでもうかれこれ9年くらい前。さらに言えば当時は全くと言っていいほどこの作品の良さが理解できなかった。あまりにも芸術的であまりにも暴力的で、とにかく猛烈なインパクトが残る作品。この作品のせいだぞ。「雨に唄えば」がイカれた歌に聞こえるのは。

もちろんその曲も然り、この作品の前半は暴力への快楽。非人道的な行為への肯定感に溢れている。リンチ、レイプ、喧嘩、殺人。まあ当時の自分が嫌悪感を持つのは当然のように思うのだが、このバイオレンス行為をさも楽しそうに行っていくというギャップが実にキューブリックらしく、今思えば単なる名シーンでしかないことに気づく。だってこの作品の良さもたいしてわからなかった頃に見てもこの作品の冒頭と治療、そしてアレックスの目だけは強烈に頭に焼きついているのだから。

そのアレックスへの罰。まあ自業自得ではあるのだが、脳への洗脳治療に関しては同情してしまう部分もある。当時のそういった治療への批判的な思いもあるのかもしれないが、やはりそこに主軸が置かれてないことに最後に気づく。
何だよ、あのアレックスの態度。目の前の政治家を前にして、自分は被害者面してかぱっと口を開けてご飯を食べさせてもらう。お前何も反省してないじゃないか。
胸くそ悪いぜ、まったく。キューブリックさん、あんた天才です。
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