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時計じかけのオレンジのERIのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.9
個人的には今だから観れた気がする。なんとなくずっとタイミングが合わなくて観ていなかったスタンリー・キューブリック監督作品「時計じかけのオレンジ」。暴力的で考えさせられるのだけど、映画としては面白いのだから困る。

気分の上がる作品では決してないけれど、否定できないほど芸術的でセンスが渦巻いているエネルギーに満ちた作品。カット割りや美術も含め混沌としていてカルチャーが詰まりすぎている。ポスターのアートワークもシンボリックだ。左目にだけ長いつけまつげ、全身白い服に黒いブーツと黒ハット。妙な若者言葉を使って欲望のままに生きている。

15歳のアレックスを演じたマルコム・マクダウィルはかなりのはまり役。DVDのコメンタリーを聞いてみても、キューブリックと対等に役を丁寧に作り込んでいたことがわかる。不気味なシーンの連続で気持ちがわさわさ忙しいのだけれど一つ一つのブラックユーモアは秀逸だ。

アレックスとその仲間たちの不良行為も怖いのだけど、政府の仕掛けたルドヴィコ療法が怖すぎる。瞬きを禁じ体を拘束しながら暴力的だ映像を見せ続け、暴力の残虐さを思い知らせる治療。こっちの方がうんとずっと怖い。後ろの席で冷静にその実験を見ている博士たち。権力でつじつま合わせをしてくる政治家を横目にラストのアレックスの表情はすごかった。

なんだか後を引くなぁ。