ブタブタ

時計じかけのオレンジのブタブタのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
5.0
最近では『レギオン』でも引用されてた。
スーパーミュータント・デヴィッドがすっかり落ちぶれ老人になりホームレスになってるとこへどこかで見た様な揃いのスタイルの四人組が現れ暴行を加える。
(そしてデヴィッドの超能力で消し飛ばされる)
兎に角スタイリッシュ。
不良集団ドルーグの白づくめの制服。
麻薬入りミルク。
チンコオブジェ。
今見てもお洒落極まるレコードショップ。
全体主義国家の恐怖と、その捌け口の超暴力(ウルトラ)
そしてスラング「ナッドサッド」

アントニィ・バージェスの原作小説『時計じかけのオレンジ・完全版』には当初カットされてた幻の「最終章」が収録されてる。
バージェスは映画『時計じかけのオレンジ』を忌み嫌っていて、キューブリックは原作の『最終章』を「価値のないもの」と語っているとか。
正直自分は映画の方が『真・オレンジ』だと思う。
原作の最終章はアレックスの数年後、仲間が結婚して子供が出来て自分もそろそろ落ち着こうと自ら暴力を卒業すると言う物で、それってDQNの「昔ヤンチャしてた」や、若い頃の暴力的行為を誰もが体験する「通過儀礼」や「はしか」みたいなモノと矮小化するもので『時計じかけのオレンジ』と言う大傑作小説を台無しにしてると思う。
酒鬼薔薇が未成年と言うだけで野放しになってるのと同じに感じる。
映画の方の再びアレックスが怪物と化す不穏な結末こそベストな終わり方だと思う。
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