nae

時計じかけのオレンジのnaeのネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

拷問で「悪行をする」という選択肢自体を省くことに、倫理的な善はあるのか。人間の悪の部分を省くこと自体は道義的に善なのか。様々な問いかけに、倫理観がぐちゃぐちゃになります。
劇中の登場人物は、主に「悪」か「悪の犠牲者」のみで構成されていて、善人はいなかったという印象でした。誰もがそのどちらにもなり得るし、こういう性悪説が人間の本質のようにも思えました。それを踏まえ、悪とどう向き合うべきなのかという課題を与えられている気分です。
最後は互いに復讐したりされたり、利用し利用されたりと、行動の基準が私怨や自分の利益のことばかりで、どの登場人物にも「善悪」という視点がまったくなかったことにぞっとしました。
名作だと思います。
nae

nae