てくのすけ

マイ・フェア・レディのてくのすけのレビュー・感想・評価

マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)
3.5
ミュージカルとしてのハッピーさであまり深刻さは受けないものの、上流を真似た偽物は上流でも下流でもなくなり居場所を失うという矛盾性を孕んでおり、当時の階級格差の根深さを感じてしまった。

イライザの目的意識が希薄なため、成長譚と言うよりはうまく化けましたという話に終始しており、その中で自分が何者かを問う話となるのは意外だった。結果的に「誰かといる幸せ」になるのはロマンスである以上しょうがないけど。それでも着飾って出てくるオードリー・ヘップバーンは美しいし、花売り娘との落差がスゴい。

親父の一連のシーンなんて丸ごとカットでも話は通じるけど「下流だから不幸とは限らない」と格差をあざ笑う役割として必要であって、親子そろって格差の壁を打ち破るわけですね。でもそんなこと考えなくてもとても面白かった。終盤の素直じゃない二人の掛け合いにはやきもきですよ。

英語の発音の違いが分かればもっと面白いだろうなと思う。高校の頃英語の先生が勧めてた理由が分かったよ。あと3時間という長さのわりに退屈はしないけど、それでも途中インターミッションと称して休憩映像が流れるくらいだから長いです。
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