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男たちの大和/YAMATOのオリのレビュー・感想・評価

男たちの大和/YAMATO(2005年製作の映画)
3.5
ファンタジックに彩られているものの物語構成はよくできてる。

ここから何を受け取るか、ということに関しては、
国のために死を賭けて戦うことがいかに大義でいかにかっこよくてとか、
今ここに生きていられることをそんな「英霊」たちに感謝しなければならないとかっていう
自分が属する共同体の歴史を肯定的に受け取ることで、
今の自分自身の不安感・虚無感を打ち消すこと、っていう
現代的な課題も当然ありうると思う。

けれども、映像から強く印象づけられるのは、
当時の戦艦の「対空機銃」は、十分な防盾もなく敵艦戦に姿を晒しつつ
大人数で運用せねばならず、相手からの機銃掃射で瞬く間に身体が吹っ飛ばされ、周りが血の海と化す兵器だということ。

このことが、どこまでリアルなものなのかは判断できないけれども、
ほぼほぼこんな様相だったのだろうと感じるし、
大和に限らず、さまざまな艦船の機銃に就いたひとたちも同様だったろうなと感じる。

自分が生きる意味を見出せることは、それも自分自身のためにではなくて、愛する人のために自分自身の生を捧げることは、たしかに美しいことのように感じるかもしれないし、その場に耐え忍ぶことも容易に想像できないことのように感じられるのかもしれないけれど、
具体的な個々の戦場、持ち場をみるとき、観念を先に置くことでその場を美しいものとして潔く見ることはできない。
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