だすぷーちん

男たちの大和/YAMATOのだすぷーちんのレビュー・感想・評価

男たちの大和/YAMATO(2005年製作の映画)
4.0
泣かせやがって、この野郎……です。

予算不足なのか、潔さなのか、大和以外の艦船は出てきません。

矢矧も雪風も、ホーネットもサウスダコタも、その姿、そして、艦隊戦のシーンもない。

従って、大和の、波動砲……じゃなかった、46センチ砲もぶっぱなしたりしません。

坊ノ岬沖、制空権喪失下にて、アメの艦攻、艦爆機からの猛攻を受けて、甲板を血の海に染め、或いは火達磨になりながら転がって死んでいく水兵さんの映像描写が延々と続きます……。

つまりは、ガチ戦争映画ではなく、坊ノ岬に散った戦艦大和、そして大和と運命を共にした人々の物語のようです。

天一号作戦、日本海軍最後の決戦!

母港呉を出発、艦上戦闘機の護衛なしで、沖縄のアメ公どもを叩きにいく、無謀な計画!

会議室で特攻作戦を命じる草鹿参謀長に、艦隊旗艦軽巡洋艦矢矧艦長、古村少将がフン然と質問します。

こむら「連合艦隊最後の作戦と言われましたが、豊田連合艦隊司令長官はどの艦に座乗されますか」

くさか「長官は九州の鹿屋の前線基地に移動されて、そこで指揮をとられる」

こむら「なぜ参謀長も、司令長官も、防空壕から出て特攻作戦の陣頭指揮をとろうとされないのか?」

くさか「……」


だって、死んじゃうじゃん、死んだらおしまいじゃん、とは口が裂けてもいえないくさか参謀長。

会議室には、気まずい沈黙が続くのでした……。

劇中、このやりとりが一番頭に残ってます。

兵隊が何千人死のうが、自分たちは弾がとんでこない防空壕にいて、のうのうと指揮をとれるもんだからで、無謀な邪道作戦が通ってしまうんだな、これが。
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