にく

地獄へつゞく部屋のにくのレビュー・感想・評価

地獄へつゞく部屋(1959年製作の映画)
4.0
W・キャッスル『地獄へつゞく部屋』(House on Haunted Hill, 59)。幽霊屋敷ものに典型的な立地、丘の上に建つ館は、しかしF・L・ライトのエニス・ハウスの外観(マヤ風)を借りている(ゴシック風内部は別撮り)。幽霊は全く出て来ず、全てギミックだったという実にキャッスル的なオチの付くメタ映画。
 故・瀬戸川猛資が本作を含めたヴィンセント・プライスの外面的(非スタニスラフスキイ的)演技をして①すべて見栄を切っている/②大げさでクサイ/③バカみたいでもある、と書いているのには大笑いしたものだが、『地獄〜』のプライスは実はそんなにクサくなく、富豪の傲慢と孤独をよく体現している。
 幽霊屋敷映画の建物は、この頃から中世の城を模倣する(即ち19世紀英国風である)ことをやめて、米国的近代建築を志向する。その過程にあるのが本作(59)のエニス・ハウスであり、『サイコ』(60)のゴシック風の家とベイツ・モーテルであり、『ローズマリーの赤ちゃん』(68)のダコタ・アパートメントだ。
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