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市民ケーンのぉゅのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
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2021年 鑑賞 21-190-10
オーソン・ウェルズ氏の監督デビュー作で、新聞王ケーンの生涯を、それを追う新聞記者を狂言回しに、彼が取材した関係者の証言を元に描き出していく作品。ウェルズ氏は監督の他、脚本や主演なども担当している。
また、主人公のケーンがウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルにしていたことから、ハーストによって上映妨害運動が展開されたことも有名な、世界映画史上で高く評価されている1本。私ごときがスコアなんて烏滸がましいと感じたため、スコアは遠慮させていただきます。

暗く荒廃した大邸宅「ザナドゥ城」の一部屋で屋敷の主、かつて37の新聞社と2つのラジオ局を傘下に収めた新聞王ケーン(オーソン・ウェルズさん)が小さなスノードームを握りしめ、「バラのつぼみ」という謎の言葉を残して息を引き取った。ある会社が彼の生涯をまとめたニュース映画を制作しようとするが、そのありきたりな内容に不満を持った経営者ロールストン(フィリップ・ヴァン・ツァントさん)は、編集のジェリー・トンプスン(ウィリアム・アランドさん)に「バラのつぼみ」という言葉にはきっと深い意味がある、それを突き止めケーンの人物像を探るようにと命じ...

モノクロ作品。冒頭の「立入禁止」の看板と鉄網の策から掴まれた!

“バラのつぼみ” とは...?幼き頃のケーンからの歴史が流れ... 両親のしがない小さな下宿屋が破産するも、借金のかたの●●の権利書が、ケーンの母のメアリー(アグネス・ムーアヘッドさん)の運命を変え、ニューヨークの銀行家サッチャー(ジョージ・クールリスさん)が、ケーンの後見人になったことで、25歳になったケーンの元に、多額の資産が舞い込み...

“この男 信念の男 貧しき人のため全力を尽くす男 誰かな? 愛煙家で冗談好き 破産をしても動じやしない 富と名声お構いなし 彼の名前を知らなきゃ潜りだね”
ケーンと旧友のリーランド(ジョゼフ・コットンさん)とバーンステイン( エヴェレット・スローンさん)派、買収した廃業寸前の新聞社「インクワイラー」で、経営に乗り出し、センセーショナルなケーンの手腕は、民衆の目を惹きつけ、業界トップへとのし上がる。大統領の策姪エミリー(ルース・ウォリックさん)と結婚するが...

街で偶然出会った歌手を夢見る女性スーザン(ドロシー・カミンゴアさん)との出会い。この出会いが、ケーンの運命の流れをより激しいものに変え... このことから転換し、政治家を志したケーン。中身スカスカの政治理念も、ケーンの人気はうなぎ上りに上昇も、不倫のスキャンダルにより、政治家への道も、最初の家族も失うことに...

スーザンと再婚したケーン。スーザンを最高級の歌手にはしようと奮闘するも、彼女の初舞台が酷評で、自分の新聞社「インクワイラー」からも酷評で、躍起になったケーンの圧力に負け、スーザンはどんどん鬱のような状態に陥り、自殺未遂で倒れ、歌手をやめさせてくれと嘆願され...

“愛のはずがない 真実の愛なんかないのさ 結局最後は迷子 何年もずっと 心は涙の海に浮かんでる この気持ちは何?”
最終的には最後の棲家・ザナドゥ城で、ケーンと使用人のレイモンド(ポール・スチュアートさん)と2人となり...

去った彼女の部屋で見つけたスノードームを握り締めたケーン... 欠けたパズルのピース、トンプスンにはみつけられなかった「バラのつぼみ」だったが、●●●のケーンが●●んでいた●●にあのロゴマークがっ!しかも、“あの看板” の先の、煙突から煙をを出している屋敷で、焼かれていた... ●●を思わせる結末は、まさに円環構造... とても胸がグッと締め付けられる。私の抱いた感情、あながち悪いものではないと感じた。

映像も、カット割も、ストーリーの構成もとても良かった!失ったものがたくさんあると、レイモンドに言われるケーン。ケーンがこの運命の流れに乗った時に最初に失ったものと「バラのつぼみ」が繋がる。「老いとは治療が望めない唯一の病気」なのだとしたら、より深まるし、じわじわと心に染みる。

1500
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