「彼は何者だったのか。最後の言葉は?」
新聞王チャールズケーンが亡くなった。
ニュース映像を作成する記者は彼を知る人々を訪ねて回る。
「私は米国市民だ。いつだってそうだ」
あるときは戦争を奨励、またある時は反戦を掲げる。
庶民に味方し感謝されながら、多くに憎まれたケーン。
そのどれもが彼自身であり、本当の姿ではない。
両親の愛を十分に受けることが出来なかったケーンは生涯愛を欲した。
けれど、愛し方が、愛そのものが分からず、失うものも多かった。
未完の城ザナドゥにはガラクタと美術品が散らかる。
十年以上仕えた執事は堂々と煙草をふかし、柱に火を押し付ける。
朽ちていくこの城は、まさにケーン自身だ。
どんなに金があっても、どんなに有名でも、かえって人を虚しくさせる。
そうだ、ケーンはいつも寂しげな顔をしていた。
「何をするにも愛欲しさだ。愛ばかり欲しがった。自分にはないものだから」
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