DanAbnormal

市民ケーンのDanAbnormalのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
4.0
富と名誉、幸せな家庭や己の信念を貫くことなど…周囲から見るとケーンはベタな幸せや満足度の現れの可視化として用いられる要素全てを手にした様に思われる。が、ストーリーが進むに連れ、それらひとつとしてケーンの望むようにはならず、結果としてはケーンの手中からこぼれていく様が分かってくる。
ラストに明かされるrosebudの発覚から、ケーンの前に横たわり、様々を阻んでいた圧倒的な孤独の大きさに打ちのめされ、これを作ったとき、オーソンがまだ若干24歳だったという事実にも驚愕。
自分の意見なんてガン無視で勝手に母親に「良かれと思って」決められていった人生。そこから始まってしまった。
ここから離れたくない!とrosebudと刻まれたソリを使って、幼いなりに反抗したシーン。ケーンは未だにあの頃のままだということか。寂しさを埋めるように築かれる牙城や夥しい数の美術品、妻のパズル、そしてあの日のソリ。
それらが他人の手によって葬られていくときに、本当にケーンの死が成り立ったんだと思わせるラストもお見事。ずっと答えはあったのに、そばにいた誰一人として彼のつぶやきに理解がない。

台詞もすごく良いものが多すぎ。(メモっておけば良かったと後悔)

これを観ると、レディプレ1がより面白く感じた。ハリデーとケーンの比較をしてしまう。
相棒との仲違い、収集癖、はじめの台詞で既に伏線があったんだ、とイースターエッグだらけでそこも似てる。
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