ryosuke

いぬのryosukeのレビュー・感想・評価

いぬ(1963年製作の映画)
3.8
冒頭、長回しで横に歩き続ける様子を映しながらのキャスト、スタッフ紹介がお洒落。トンネルの中に入って真っ暗になったところを利用したりするのも面白い。全体的にも長回し多め。
この時代もまだ車のシーンは明らかな合成だったのか。
ストーリーはどんでん返しですっかり騙された。ただ、全部口頭で説明してしまうのはどうなのかなという気もするが。難解でキャラクター名も覚えられないし、説明も少ない。まあ「三つ数えろ」ほどではないが。
金を掘り起こす男や助けの車など、見せない演出が冴える。
光と闇、影を利用したノワール。同時に見た「仁義」ほどは洗練された演出、構図ではないかな。
闇夜に積もった雪が舞うショットや序盤の殺しのシーンでの散らばる宝石、揺れる明かりのクローズアップからゆっくりパンする撮影など印象的。
ラストシーンは衝撃的。影を利用した勘違い、ついたてが倒れる瞬間に息を呑む。死の前に恋人に電話をかけ、鏡を確認する様に人物像がにじみ出る。
原題のもう一つの意味でもある「帽子」が転がって終幕となる。
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