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シン・レッド・ラインのtakのレビュー・感想・評価

シン・レッド・ライン(1998年製作の映画)
4.0
復活を遂げたテレンス・マリック監督が20年ぶりに撮った新作。同じ戦争映画として「プライベート・ライアン」と比較することが許されるならば、すべてがドラマティックなスピルバーグに対して、本作はとにかく静かに映像で語りかける詩だと思う。

ガダルカナルの豊かな自然を冒頭で印象づけた後、戦線を離脱していた主人公が紹介され、日本軍が占拠する丘の上の陣地を攻撃するエピソードへと進んでいく。ここからの攻略シーンが圧巻。兵士一人一人の恐怖感、上官との対立、死と隣り合わせの状況が語られる。

しかしそれでも「プライベート・ライアン」よりも"静"のイメージがつきまとうのは、自然のままの風景があるからだ。丘の攻略シーンも、敵兵の姿やトーチカなどは最後の最後に見えるのみで、草の生い茂る緑の丘を兵士たちが苦しみながら登る様子だけが続く。戦争という愚かな行為をガダルカナルの自然があざ笑っているかのように感じられた。本作は反戦を声高に訴えるのではなく、その虚しさを映像で綴った見事な詩なのだ。
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