十年ぶりに観た。ラストに至るまでの展開は凄まじく、非常に印象的ではあったのだが、今回改めて観直すと、この作品は大島渚なりのミュージカル作品だったのでは?と思えた。
そして、歌に込められたそれぞれの情念や思想がぶつかり合い、単なる歌を見せ合うだけで、人間ドラマを展開させている様は流石だった。
リビドーの爆発と、受験生という抑圧された立場を「春歌」という道具を使うことで惹きつける作品だった。
春歌、あるいは猥歌、そしてそれに連なる下衆な想像というものが持つ暴力性、そして人間同士のレイプというもの自体がある種の国家間の象徴として展開していくさまは、儀式や夏の妹等の大島作品共通のもので、やはり凄い。