新宿の夜明けの長回し、荒木一郎と小山明子の道行きのすばらしさ。
題名から、春歌や猥歌のことばかりイメージしてしまうが、実に政治的な作品だ。
退廃的な学生と退廃的な若手教師を、ブルジョアの反戦フォークソング集団と対比する。軍歌対猥歌の歌合戦もある。
それにしても「紀元節」が廃止されたにもかかわらず、「建国記念の日」と名を変えて祭日が復活したことへの「記念」にこんな映画を撮るとは、さすが大島渚、さすが創造社だ。
黒い日の丸も象徴的だし、騎馬民族説を唱えるのも、この時代を表しているし、時代の雰囲気でもある。
創造社のメッセージもぐいぐい押してくる。
これが、後に創造社のホームグラウンドになるATGでなく、松竹の配給だったということも貴重だ。