『ウィル・スミスは簡単にやられねぇ〜。
気持ち悪いエイリアンの顔面にパンチを
喰らわしたりするんだよ。』
『えっ、このお兄ちゃん、死んじゃう
の？』と、息子が聞いてきた時だ。
『エイリアンの言葉もちょっと喋れるし、
バカでかいゴキブリエイリアン相手
だって、怯まないんだよ。むしろ
相手をおちょくるんだ。』
僕は昔からの友人のように
楽しそうに息子に教える。
『覚えておけよ。
ウィル・スミスはカッコいいんだよ。』
『この俳優さんは、ちょくちょく
大統領役をやるんだ。
ブルース・グリーンウッドって
言うんだけど、顔がもう大統領顔
なんだろうね。ケネディ大統領も
やったことあるよ。よく見ると、
全然、似てないけとね笑』
僕は妻に言う。
『どっちが悪い奴なの？』と今度は
息子が聞く。そこには赤いロボットと
青いロボットがいる。
『だいたい赤い奴が悪い奴だ。
青い奴はいい奴。
（スター・ウォーズ）だって、
そうだろう。常識だ。覚えておけよ。』
と僕は言う。
『常識なんだ？』と妻が笑う。
『ロボットとか、いつも
反乱起こしてるよね。』と妻が笑う。
『反乱を起こさないロボットなんて
映画にならないからな。』と今度は
僕が笑う。
最初は、部屋の隅でニンテンドー
スイッチをやっていた息子が、
僕の横に座る。
トンネルの奇襲シーンに妻と息子が
怖い怖いと、声をあげる。
『死んじゃった？』と、シーンに
釘づけになっている息子が聞いてくる。
『ウィル・スミスをなめんじゃね〜。
世界を何度救ったと思ってんだよ。』
20代に付き合っていた女の子に、
『君は生きてゆく上で必要な
一般常識は知らないのに、
生きてゆく上で全く必要のない
雑学だけはやたら持ってんだよね。』と
怒られたことがある。
ありがとう、と返事をしたら、
呆れてんだよ、と凄まれたっけ。
久しぶりに観たけど、面白かった。
映画って一人旅だと勝手に思ってた。
ずっと。そう思ってた。思ってた。
でも、そっか。そうなのね。
