Jeffrey

ヒポクラテスたちのJeffreyのレビュー・感想・評価

ヒポクラテスたち(1980年製作の映画)
3.8
「ヒポクラテスたち」

‪ ‪ 冒頭、コス島のヒポクラテスの像。少女の声が説明する。バイク事故、避妊法を話し合う学生ら。主人公の一人称で語られる周囲の人々の事情…本作は大森一樹が医学生だった頃の体験をATGから製作した彼のヒット作。物語は臨床実習で数人のグループに分けられた医学生たちの情熱や葛‬藤を通して成長して行く模様を描く医学青春ドラマ。本作は私にとっては非常に懐かしい様々なドラマを思い返さす。主人公の古尾谷雅人は堂本剛の金田一少年の事件簿の刑事役で非常に親しんだ顔。これまた堂本剛、光一出演の人間失格の体育教員役の斎藤洋介、安達祐実主演の家なき子の父役の内藤剛志など‬私が小学生の頃にハマったドラマの役者が勢ぞろいで嬉しいもんだ。ATG作に出演が目立つ…特にサードの短歌を詠う少年が印象の西塚肇もいて良い。また風の歌を聴けでは黒木和雄が出演し、本作では鈴木清順が監督外で出演している。更に小児科の教授役では手塚治虫が…同じく教授役に原田芳雄、元キャン‬ディーズの伊藤 蘭まで出演と豪華だ。後、殆ど知られてないが狩場勉と言う役者は個人的に好き。本作の彼らの寮の壁のあちこちに貼られた映画ポスターは映画好きには面白い要素の一つだ。黒澤明の赤ひげのひを×にして横にはと書いて赤はげにしてたり笑える要素がある。この映画は若手キャストが非常に素‬晴らしく、物語を高みへと向かわせる。特に主役の古尾谷のナイーブな芝居、繊細な精神が段階ごとに傷つく過程の表現は素晴らしく今を生きる若者全ての希望と挫折の物語として共感を呼ぶ。徐々に精神が崩壊してく若者を渾身の演技で魅せた。最後にこの映画を見る度に自殺した古尾谷雅人の初々しい容姿が涙を誘う…‬大森一樹がATGに残した代表作である医学生の生活環境を描いた青春映画の本作は優しいサントラが心に残る。。
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