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シルクのktyのレビュー・感想・評価

シルク(2007年製作の映画)
5.0
芦名星、キーラ・ナイトレイ、中谷美紀、渡辺奈緒子の美しさ、古い日本の雪の山村と欧州の森を愛でる作品

芦名星は2020年に自殺したとは、惜しい。冒頭のカットは、なぜ必要か?最後まで観ると、ジワッとくる。

渡辺奈緒子も台詞がないが、強い瞳としなやかな肢体、これだけでも必見。

キーラ・ナイトレイの控えめな愛情表現は地味だけど、名画のような華やかさが印象的だった。

中谷美紀は凛とした姿勢で主人公と対峙する。物語の鍵を握る重要な役を演じきった。

坂本龍一作曲の慎ましやかな弦楽器と、指先で一音一音たどるようなピアノの厳かな調べには、強烈なフックとなるメロディーはないが、物語の主体となる「遠い愛情」を旨く紡ぐ糸、まさにシルクのように表現している。

物語の多くは台詞で語られないので一見退屈そうだが、映像美が物語の案内人といえる。

監督はフランソワ・ジラール、『レッド・ヴァイオリン』の監督だからか、東洋と西洋の両方の良さをうまく引き出している。特に、フランスから日本への旅で刻々と変わる風景が、西洋から東洋へのグラデーションなのだろうか?
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