Omizu

モンゴルのOmizuのレビュー・感想・評価

モンゴル(2007年製作の映画)
3.7
【第80回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート】
アカデミー賞にはカザフスタン代表として出品されたが、監督はロシア人、主演は日本人という多国籍映画。

浅野忠信はモンゴル語を習得したわけではなく、セリフをCDに録音し聞いて覚えたという。だったら最初からモンゴル人使えばいいのでは…という気がしなくもない。浅野忠信がチンギス・ハーンを演じるのは日本人として誇らしいことではあるが、反面モンゴル人からすると『SAYURI』のチャン・ツィイーのような感覚ではないかと…

まあそれはさておき、期待以上に面白かった。作品の半分を占めると言っても過言ではない合戦シーンはなかなか迫力があり、血しぶきも容赦なく映し出す。また最後の決闘シーンは偶然で勝ったのではなく、テムジンの戦略がきちんと機能して勝ったというロジックがありよかった。

モンゴル人の掟や慣習はやはり独特なものがあり、それを美しくみせる撮影は特出すべきものがある。ワダ・エミが手掛けた衣装も史実に則りつつも素晴らしい。

テムジンが逃げては捕らえられ逃げては捕らえられという繰り返しではあるが、妻との一心同体とも言える結びつきや盟友との愛憎入り交じる熱い展開で飽きさせない。

狼や僧侶、予言する老人といったスピリチュアルな要素もとてもよく、この物語に不可欠な要素であると思う。

監督は『コーカサスの虜』(これもアカデミー賞外国語映画賞ノミネート)やファンタジー『ベアーズ・キス』のセルゲイ・ボドロフで、戦争映画が多いがファンタジー的要素も得意とし、本作も両方の要素がバランスよく入っていてなかなか腕がある。
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