滝和也

機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編の滝和也のレビュー・感想・評価

4.5
宇宙世紀0079
サイド3がジオン公国を
名乗り、独立戦争を
挑み、人類の半数が
死亡し半年が過ぎた…。

連邦軍最新強襲揚陸艦ホワイトベースに乗り込み、ガンダムに搭乗したアムロ・レイは数々の戦いを超え、いつしか戦士となっていった。そして激闘の地上を後にして、ホワイトベースは宇宙(そら)に上がる。彼らの宿敵シャア・アズナブルもザンジバルを駆り、宇宙へ上がる…。

「機動戦士ガンダムⅢめぐりあい宇宙編」

ガンダムラストシューティング!

全ての始まりにして至高、後にファーストガンダムと呼ばれる3部作のラストを飾る物語。人の革新である、ニュータイプを通して、戦争の愚かさ、哀しみを訴え、人はエゴを捨て、わかりあえるのかを問う、一大叙事詩です。ロードムービーであり、戦記物であり、群像劇。全てが詰まってますし、リアルロボット物の元祖であり至高。名シーン、名台詞の総集編でありながら、奇跡の纏まりを見せます。戦争ものとしても無名戦士の悲惨な死を露骨に描き、戦争の無意味さ、哀しさを打ち出して来ます。更に今作は新規書き起こしのシーンも多く、今見ても遜色ない作画です。

ここからはガンダムファンに向けて楽しみます!

冒頭、3分の地球軌道上の攻防は、まさにホワイトベース部隊が、アムロ・レイがニュータイプとして覚醒した証。僅か3分でキャメルパトロール艦隊ムサイ型巡洋艦3隻、リックドム部隊を屠る鮮やかな手並み。このシークエンスのテンポがまた素晴らしく、アムロ・レイ搭乗のガンダムの凄さが詰まってます!

陽動のため、中立サイド、サイド6に入港するホワイトベース。アムロ・レイには運命の出会いが…。父親テム・レイとの再会。運命の人、ララァ・スン、そして宿敵シャア・アズナブルとの出会い。ここ迄、何度も戦う二人が初めて生身で出会う…。リアルな戦争を描く作品ならではです。何気ない言葉を交わす2人がまた良いんですよ。

そしてミライにも…。婚約者カムラン。戦争を端で見るものと当事者。その温度差を出す部分がサイド6編は今見ても巧いですよね。そこにホワイトベースに前作ラストで配属された唯一の大人であるスレッガー中尉が絡み、ドラマが展開されます。更にコンスコン艦隊、リックドム12機をまたもや3分で屠り、艦隊集結ポイント、テキサスコロニーへ向かうホワイトベース隊。有名なアムロのカウントシーンがあるのはこちら!

サイド5テキサスコロニーでのセイラ、シャアの再会を挟み…。

そして…
後に1年戦争と呼ばれるジオン独立戦争は終盤を迎えていた。地球におけるジオンの最重要拠点オデッサを奪還した連邦軍は、宇宙での大反抗を開始する…。
ソロモン攻略戦の始まりである。

敵将ドズル・ザビが駆るMAビグ・ザムの猛威。艦隊が次々に撃ち落とされる惨状に、スレッガーのコアブースター005とアムロのガンダムは下方からの攻撃を試みる…。

スレッガー「おーいやだやだ。みてらんないじゃないの〜。ガンダムちゃん、しっかり面倒みてよ。」
アムロ「ビームバリアがあるなら、直接攻撃をかけようと言うのか」
スレッガー「悲しいけどこれ、戦争なのよね。」
ドズル「下か!対空防御!」
コアブースターのコックピット付近に突き刺さる、ビグ・ザムの爪!だが!

スレッガー「まだまだー!」

ビグ・ザムの下部噴射口に突っ込み爆散するコアブースター!一瞬の隙を付き、ビグ・ザムの真正面に飛び出すガンダム!
アムロ「やったな!」
ドズル「ガンダムか!」
アムロ「このーっ!」
ビームサーベルがビグ・ザムに突き刺さる!

ドズル「やらせはせん!やらせはせんぞー」ノーマルスーツで銃を放つドズルにアムロは悪魔の影を見た刹那、爆散するビグ・ザム…。

この前に武人ドズルが優しさを見せる、妻ゼナと娘ミネバをソロモンから逃がすシーンがあり、そして、ミライとスレッガーの戦場での淡い恋が語られ、その哀しみ、壮絶さを増すシーンとなります。そのドラマ性たるや、もう泣くしかないじゃないですか(T_T)このシーン、ガンダム史上一番好きかも…。スレッガーさんが大好きなんですよ。大人のいい男はこうでないと。

ソロモン陥落、連邦軍は「星1号作戦」を展開。ジオン最終防衛ライン、グラナダ、宇宙要塞ア・バオア・クー付近に進軍。キシリア率いるシャアを中心とした艦隊は奇襲をかける。ニュータイプ、ララァのMAエルメスを先陣として…。

ニュータイプとして、ララァと共鳴するアムロ…。わかり合う2人にシャアのゲルググが割って入る。
シャア「ララァ!奴との戯言をやめろ!」
ララァ「大佐!」
シャアを止めようとセイラのコアブースター006も割って入るが…。
セイラ「兄さん、下がって下さい!」
ゲルググのビームナギナタはセイラと気づかず、コックピットを薙ぐ寸前…。
ララァ「大佐!いけません!」
シャア「何!アルテイシアか…。」
その一瞬の隙を見逃さずアムロのガンダムのビームサーベルがゲルググの右腕を切り飛ばす!
アムロ「シャア!覚悟!」
シャア「ウーンッ!」
ララァ「大佐!」
シャアのゲルググを押し飛ばしたエルメスのコックピットを貫くサーベル…。

ララァ「人は変わっていくわ…私達と同じ様に…。」「アムロ、刻が見える…」
散華するエルメス!

この瞬間長きに渡るアムロとシャアの因縁は始まる…。逆襲のシャアに至るまで、その愛憎極まる関係は続いていく…。そしてニュータイプの悲しみは、宇宙世紀を連なる悲劇へと連綿と続く。ここが始まりなのです。

アムロ「僕は取り返しのつかない事をしてしまった…。」
シャア「今の私ではガンダムを倒せん…ララァ…私を導いてくれ…。」
涙にくれる2人を時は待ってはくれない…。

「敢えて言おう!カスであると!」
ギレン・ザビの演説が将兵を鼓舞する!

ソーラレイにより全戦力の半分を失った連邦軍はそれでも作戦を強行する!ギレン・ザビ率いる最終攻防ライン、宇宙要塞ア・バオア・クーへと!

ゲルググを失ったシャアに与えられた機体はMSN-02ジオング。
シャア「足がついてない」
兵士「あんなもの飾りです。偉い人にはわからんのです。現状でジオングは性能を100%発揮できます!」

美しい光の花は何百と言う若者たちの命を散らしていく…。その中…

アムロ「大物だ!シャアか?」
シャア「見えるぞ!私にも敵が見える」
ジオングのオールレンジ攻撃を交わし、懐に飛び込むガンダム!
アムロ「何故ララァをまきこんだのた?ララァは戦いをする人ではなかった!」
シャア「どうする?あのニュータイプに打ち勝つ方法は?ララァ教えてくれ?どうしたらいいんだ?」

胴体全てを失ったジオング、片腕と頭を失ったガンダムは相打ちとなり、遂には生身で戦う2人…。割って入るセイラ…
「2人が戦うことなんてないのよ!」
そしてララァ…。
負傷するアムロにシャアは言う!
「なら同士になれ!そうすればララァもよろこぶ!」その言葉に嘘はなかっただはずだ…。あぁこの時2人が和解できていれば…。爆炎が2人を分かつ…。

シャア「ガルマ、わたしの手向けだ…」放たれるバズーカ!人のエゴの象徴であるザビ家最後の1人キシリアの命を絶つシャア…。

そしてアムロは…ニュータイプの本来の力を使い、白兵戦の中にあるホワイトベースのクルー全員を救う、感動のラストへ。これ以上のラストは全ガンダムシリーズの中にもない!断言してもいい!ガンダムファンに涙を流さないものはいないはずだ…。

「みんなは…」
「ごめんよ、まだ僕には帰れるところがあるんだ…。こんなに嬉しいことはない…わかってくれるよね。ララァにはいつでも会いに行けるから…」

YES my sweet YES my sweetest!
I wanna get back where you were
誰も1人では生きられない…。

この日宇宙世紀0080、この戦いの後、
地球連邦政府とジオン共和国の間に
終戦協定が結ばれた…。

次回予告…
君は刻の涙をみる!宇宙世紀0087へ
滝和也

滝和也