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未知空間の恐怖/光る眼のhorahukiのレビュー・感想・評価

未知空間の恐怖/光る眼(1960年製作の映画)
4.0
子供怖い系SFホラーの傑作!
エイリアンによる侵略系なんですけど『インデペンデンス・デイ』系ではなく、どちらかというと『パラサイト』系ですね。ちなみにDVDには本作と続編が収録されてて、ジャケ画像の左側が本作です。

あらすじ…
イギリスの田舎で村人全員が同じ時刻に仮死状態となり倒れる事件が発生。軍隊が調査に入ろうとするも一定以上村に近づくと倒れてしまい、調査ができない。しかし、数時間後には村人全員が目覚める。何事もなく生活を再開するが、村中の妊娠できる女性の全員が妊娠していることが判明。その後、同じ日に12人の子供が生まれ、不思議な能力を発揮し始める…という話。

無音の使い方がうまくて冒頭で一気に引き込まれました。軽快なBGMが流れる中、電話をしている男が突如倒れる。同時に村人全員が倒れ、至る所に死体のように転がっているという世界の終わりのような映像。そして死を感じさせる静寂。聞こえるのは、つけっぱなしのレコードや電話のコール音だけ。村全体が一瞬にして死滅してしまったかのようなこの異様な雰囲気に包まれた中、現れるタイトルコールでテンション上がりまくりです。

主人公ゴードンと妻アンシアは晩婚で子供ができたことを凄く喜ぶんですよね。でも生まれた子供はどこかおかしくて、死亡事件まで起こり始める。子への愛情との葛藤に悩む主人公。12人がそれぞれ村人の子供であるからこそ、危険であっても手出しができない。ここら辺は子供怖い系ホラーの醍醐味ですね。その子供たちの演技も良くて、幼いのに大人のような落ち着いた振る舞いをするのが未知の知性を感じさせて怖い…。

描かれてるのは、異なった文化や価値観が自分たちの文化・価値観を侵食することに対する恐怖。『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』と基本的には同じですね。共産主義をエイリアンとして捉え、それに取って代わられる恐怖という当時の時代を反映した作品になっています。今見ても単純に、静かにだけど確実に人類が死滅していく危機感や恐怖を感じられるのが良いですね。

そして崩すべきものとして出てくる「レンガの壁」が、逆に崩れたらいけない、死守しなければならないものとなる展開も面白いですし、彼らのテレパシーにより徐々に崩れ去っていく演出も緊迫感があって良かったですね。最後に流れる勇ましい曲は最悪でしたが…(^_^;)続編とリメイクも見てみたいと思わせる傑作でした!
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