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未知空間の恐怖/光る眼のほーりーのレビュー・感想・評価

未知空間の恐怖/光る眼(1960年製作の映画)
4.5
サイコキネシスを使う子どもたちの恐怖を描いた「光る眼」はジョン・カーペンター版の方が有名だけどあれはリメイク。

オリジナルは1960年にジョージ・サンダースが主演した「未知空間の恐怖/光る眼」である。

のどかな風景が広がるイギリスの小さな村。それはある日のことだった。

何の前触れもなく村中の人々が全員昏睡状態になる事件が発生。助けに行こうとした人も村に一歩足を踏み入れた途端にその場で倒れてしまう。

この事態にイギリス軍も出動するが手も足も出ない始末で、そうこうしているうちに何事もなかったように村人たちは蘇生する。

何事もなかった……いや実はあった。その後、村中の妊娠可能な女性が全員妊娠していたことがわかる。その中にはまだ処女の女性もいた。

医師が診断した結果、妊娠した時期はいずれも全員が意識を失ったあの事件があった頃だとわかる。

やがて妊婦たちは同じ日にみな出産するが、生まれた子どもたちは知能も高く、成長も急速で、そして皆揃って奇妙な眼をしていた……。

リメイク作を観た方にとっては今さらあらすじを説明するまでもないですが。

特撮も単に子どもの眼がピカピカ光るだけの見るからにして低予算の作品だけど、SFスリラーとしてよく出来ている。

もし自分のお腹の中の子どもが人間ではなかったら、これほどの不安や恐怖はないと思う。

主人公のジョージ・サンダースは政府にも顔がきく科学者で、今回の事件で年の離れた奥さんが身ごもってしまう。

軍部は子どもたちの危険性を指摘して早く殺処分するよう主張するが、対するサンダースは科学者の見地から子どもたちを研究するため保護しようと訴える。

「ゴジラ」の山根博士に通じるものがあるが、さらにそれが奥さんが生んだ子どもだから父親としての葛藤も生じてくる。この辺りの心理描写が良かった。

驚くべきなのはこの映画は何とたったの78分しか尺がない点。

それでいて登場人物の描き分けができていて、ちゃんとサスペンスとして成立している。

■映画 DATA==========================
監督:ウルフ・リラ
脚本:ウルフ・リラ/スターリング・シリファント/ジョージ・バークレイ
製作:ロナルド・キノック
音楽:ロン・グッドウィン
撮影:ジェフリー・フェイスフル
公開:1960年11月6日(米)/1961年3月31日(日)
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