朝霧JAMに参加してるときにテントの中で鑑賞。初濱口竜介だったわけだが、途轍もない才能の表出体験だった。
芸大院2期生の卒制作品にもかかわらず、その辺の邦画を軽く凌駕する面白さ。何が面白いって、あの場所あの時間あの人と過ごしたこコト・思い出ってそのときの気分や感情でコロコロ変わるヒトの危うさを、「29歳」という自由に人生を選択できる最後の年をテーマに、「人生の選択」から人間の本質を余すことなく描ききったこと。
序盤のありきたりな同窓会の雰囲気から一転インテリな哲学思考を展開し、最後にはあっけらかんとした生活を繰り返す登場人物たちを観ていると、喜びと哀しみすべてが複雑に絡み合ってるにもかかわらずスッキリとした余韻だけが漂う。仕事や生活の悩みさえ吹き飛ぶ。
キャストは「さよなら歌舞伎町」で綺麗な裸体を披露した河井青葉、芸大御用達渋川清彦、どこか人を惹きつける岡部尚といった、青春群像劇にうってつけの役者が勢揃い。
僕の相方の岡田がいつもしきりに濱口竜介濱口竜介言うからそんなに言うなら観てやるよということでビックリ…ロカルノで最優秀女優とった「ハッピーアワー」の公開がより楽しみになった。
ハッピーアワーより間違いなく本作の方が観終わった後のハッピー感満載な「passion」。間違いなく傑作。