久遠

PASSIONの久遠のレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
5.0
卒制ってマジ...?と観る度に思っちゃう頭抜けた大傑作。村上淳さんも仰っていたけれど、本当に出来過ぎな映画。バス・トラックと、乗り物により物語は運ばれ、そして断絶が描かれる。また、フィクション性が高まりそうな本音ゲームによって人物の本質が暴かれていくのが堪らなく好き。そこで描かれるのは、愛する人に向ける情念、“愛してる”という言葉すら暴力性が宿ってしまう、いや宿るからこその“恋”であるのかもしれないという激烈な発露だ。前述した通り、出来過ぎなショットの数々に惚れ惚れするが、何と言っても結末が示す、人間のどうしようもなさに途轍もなく感動を覚えてしまう。暴力を語る授業は若干、理屈が前のめりになってるのではと思わなくもないが、黒沢清的な不穏さは湛えており、これはこれで映画的なのであろう。
久遠

久遠