七沖

ゴジラVSビオランテの七沖のレビュー・感想・評価

ゴジラVSビオランテ(1989年製作の映画)
3.7
〝超ゴジラ  それはゴジラ細胞から生まれた!〟
11月3日はゴジラの日!ということで、ゴジラシリーズの中でも特に好きな本作を観賞。

ゴジラ細胞を狙った利権争いに巻き込まれて最愛の娘を失った博士は、娘の永遠の命を求めて、不滅のゴジラ細胞と娘、さらには娘が好きだったバラの細胞の融合を試みる…というストーリー。

シン・ゴジラを除けば、シリーズで一番ゴジラ対人類の戦いが描かれている作品だと思う。
シナリオが一般公募だったり、音楽がドラクエのすぎやまこういちだったりと、かなりの変化球。
平成ゴジラシリーズ通してのヒロイン・三枝未希の初登場作品でもある。思い返せば、ゴジラ映画を観て育った自分にとって三枝未希は初恋の人だった汗

本作のストーリーは一般公募だが、採用されたシナリオは完全な素人のものではない。『帰ってきたウルトラマン』第34話「許されざるいのち」原案者の小林晋一郎のもの。バイオテクノロジーを扱い、シリアスかつ人間の行き過ぎた行為に警鐘を鳴らす内容になっている。

白神博士を監視するバイオメジャーの二人…を監視するサラジアのスナイパー…の構図は、何回観ても彼我の距離が近過ぎてギャグかと思う笑
だが、自分はこの作品が大好きで、正直もう何回観たか分からない。
小さい頃に観た時には理解できなかったセリフも、年を経ると理解できるようになる。ゴジラシリーズって本当に味わい深いなぁと思う。
「原爆とゴジラに酷い目に遭わされた日本が、ゴジラ細胞から核を超える兵器を作っても、決して悪いとは思わんがね」

自衛隊の指揮を取る若手筆頭の黒木一佐は失策もあるが、目先の戦果ではなく常に最終的な勝ちを見据えて動くのがカッコいい。そんな黒木一佐の部下を演じるのは若き鈴木京香…!子供の時は意識しなかったが、改めて観て驚いた。

まさか動くまいと思っていたビオランテが地響きと共に迫りくるインパクトは怪獣特撮のなかでも屈指の迫力。操演を駆使した触手の動きや頬をひくつかせるゴジラなど、怪獣バトルも見所が多い。

だが、本作は怪獣バトルに終始せず、あくまで人間同士の利権争いやゴジラ対策がメインになっていて、大人になってから観ても充分見応えがある。
…なのだが、白神博士の言動だけは全く共感できない。白神博士に共感できるキャラ設定ができていれば、本作の評価はもっと上がったと思う。

すぎやまこういちの音楽はどれも新鮮で、緊張感と高揚を煽るスコアとなっていて素晴らしい。
伊福部昭のおなじみのゴジラのテーマもかかるし、怪獣大戦争マーチもかかるので、シン・ゴジラでゴジラシリーズに興味を持った人に次に観ることをオススメできる作品だ。
コンピューターの安っぽい描写や関西国際空港が建設予定地扱いだったりと、平成初期の空気が感じられるのも貴重。
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