ぺむぺる

イベント・ホライゾンのぺむぺるのレビュー・感想・評価

イベント・ホライゾン(1997年製作の映画)
2.0
主旋律は「シャイニング」でベースは「ヘルレイザー」、ときどき「2001年宇宙の旅」「惑星ソラリス」「エイリアン」に転調する。アイディアとしては面白いと思うが、全体を見れば箸にも棒にもかからない作品。

過去の名作をパクり倒したことよりも、それらをパクった甲斐のなさのほうに罪の重さを感じる。たとえば、前述の映画を何ひとつ見ていない人にとってなら、本作は楽しめる作りとなっているだろうか。登場人物の描き込み、ストーリーの練り込み、恐怖の暗示と明示の仕方、なりより「この映画で何を一番に見せたいか」という魂の部分で足りないものが多すぎる。

下手なクラブDJのように、曲の境を次の曲のボリュームでごまかすスタイルの演出も気になる。そもそも、つぎはぎされた映画のそれぞれに恐怖の対象は異なるのだから、それらを無理やり合わせたところで散漫な印象になるのは至極当然のことだろう。

ただし、幽霊(宇宙)船の美術面や、無重力状態にある物体の撮影面など、オリジナリティはさておき時代を考えれば優秀なところも多く、一概にダメ映画とはいえない。しかしそれが本作の、かえってダサいところでもある。超駄作になりきれない駄作。そのへんに愛嬌を感じて好きな人がいることもまあわかる、と思わざるを得ない珍作である。
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