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悪魔のいけにえ2のnetfilmsのレビュー・感想・評価

悪魔のいけにえ2(1986年製作の映画)
3.7
 前作から12年、すっかりヒットメイカーとなったフーパーが再びレザーフェースを題材にした『悪魔のいけにえ』の正当な続編。前作ではまだ無名の役者ばかりが出て、もっともらしい恐怖感を演出していたが、今作はデニス・ホッパーが主人公のバリバリのスター映画。オマケにロメロの特殊メイクとしてあまりにも有名なトム・サヴィーニを起用し、残虐描写をほとんどしなかった前作とは一転、目を覆いたくなるようなこれでもかと言う残酷描写のオンパレードが続く。しかしプログラムピクチュアとして回収されてしまったことが、『悪魔のいけにえ』にとって幸福だったのかはわからない。レザーフェイスという人物の不鮮明さと暴力の不明瞭さが、際立つ怖さを醸造していた前作に対して、今作ではレザーフェース一家がコミカルになってしまっている。冒頭の並走する車の屋根を突き破るチェーンソーのシーンと、ラジオ局にレザーフェイス一家が侵入するシーンはなかなかに怖いが、肝心要のフーパーお得意の蟻地獄のような舞台装置があまり効果を発揮していないように思える。

 あのクライマックスに選ばれたエイリアンの洞穴のような舞台装置はいったいなんだろう?前作ではごく普通の民家の中でチェーンソーを振り回していたからこそ、日常に狂気が宿ったのだが、エイリアンが住み着いていそうな洞窟に一家が住んでいるとわかった途端にフィクションになってしまう。はっきり言って、クライマックスよりも冒頭の15分間の方が遥かに怖い。陸橋を並走する車の中から男が仁王立ちでチェーンソーを無軌道に振り回すシーンは、もう十分に怖いがそこが恐怖のMAXで、徐々に怖さに慣れてしまう。これは単純に言って、フーパーの設計ミスだろう。あの洞窟から命からがら脱出したホッパーとキャロライン・ウィリアムズが追いかけて来たレザーフェイス一家に並走され、レザーフェイスが仁王立ちでチェーンソーを無軌道に振り回すところをクライマックスに持ってくれば、まったく違う印象になったはず。しかしキャロライン・ウィリアムズに密かに思いを寄せる男が、レザーフェイスの餌食になる場面は妙にわびしかった。
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