まりぃくりすてぃ

雨のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

(1932年製作の映画)
3.0
娼婦の話でありながら、売春場面がなく、脱ごうとする気配さえなく、そもそも全身演技的なことを誰もしない。“口ばっかり娼婦”と“責め好き牧師”による、忙しめの会話劇。
娼婦サディ役ジョーン・クロフォードは、白目と口の大きさばかり品悪く目立ってカエル顔のケバ化粧。実際、「あんたはカエルに針刺すんだ」と牧師に言い返したりしてた。そんなカエルな彼女を「あばずれのくせによくこんなに台詞をしっかり覚えたね」と私はねぎらってあげたくてしかたなかった。

(以下ちょっぴりネタバレあり)
牧師に彼女が言い負かされて「自ら罰を求めようと欲する」対話クライマックスのところは、声合わせての祈りがエクソシストっぽいし、のめり込んで観た。ずっとアゴ突き出した冷たい横顔ばかり撮られてた牧師ダビッドソン役ウォルター・ヒューストンが初めて正面どアップ。そして闇夜の妖怪じみた苦悩顔。雨やみ祈願なのか土人たちの太鼓もオドロオドロ。
巧いわ。さあ、ここからどうなる?!
雨やんで、「………えっ! 誰が? 誰が死んだのよ? ヒロインはもう死ぬわけないし。じゃあ、オハラね? カエルに裏切られたオハラ、さようならぁ。……………えっ!!!」
べつに誰がどうなってもいいんだけど、報せを聞いたヒロインの平然とした精神的リバウンド、自然さが全然ない。条理がもうちょっとあった方がいい。
ということで、粗暴作品に終わる。

ところで、カエルさんよりも、隅っこで楚々と咲いてた淑女役の美しさが印象的だった。二女性の対比で行くストーリーなのかなと最初思った。