あきしげ

スタンド・バイ・ミーのあきしげのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
3.5
「人生において二度観る映画」
一度目は少年時代で鑑賞して、
二度目は大人になって鑑賞し、
違った視点で楽しめる作品だ。

一度目は少年たちの冒険にワクワク。
二度目は昔あった思い出を懐かしむ。

原作はスティーブン・キングの短編。
映画化での脚本と演出は非常に巧み。
ホラーじゃないスティーヴ・キング。
その名作の一つとも言える本作です。

主人公は4人の少年です。

内気で真面目なコーディ。
強い正義感を持つクリス。
ちょっとイカレたテディ。
臆病なうっかり者バーン。

それぞれが心に傷を持つ。

語り手のコーディに成長物語でもある。
賢兄愚弟の意識から内気な性格になり、
物語を作る才能も自身が信じていない。

4人のリーダー的存在で頼れるクリス。
誰よりもコーディの才能を認めており、
誰よりも信念を最後まで貫き通します。

父親を尊敬し軍人に憧れるテディ。
その一方で虐待を受けているけど、
それでも父親を誇りに思っている。

旅のきっかけを作る天然なバーン。
コミックリリーフとして活躍して、
埋めたヘソクリの瓶をずっと探す。

似た境遇の4人がひと夏の冒険に出かける。
大人から見れば大した事がない旅であろう。
だが、当人たちには一つの旅で冒険である。
現実から離れ、楽しむ彼らの姿は印象的だ。

少ない金でパンと肉を買い、
焚き火を囲んで焼きながら、
他愛もない会話をしていく。
これだけでも楽しいのです。
その後の一服はさておいて。

では単純に物語を簡潔にすると、
4人の少年が死体を探しに行く。

それだけの物語である。
しかし、それ以上の意味合いがある。
特にコーディにとって。

本作は決して大きな展開はない。
どこの町にもありそうな物語だ。
だからこそみんなが好きな本作。

子供の頃に立ち戻る作品でもある。
エンドロールとともに流れる名曲。
『スタンド・バイ・ミー』
それをBGMにして昔を振り返る。
本作を観終わった後に懐かしむ昔。
『スタンド・バイ・ミー』
この意味は二つの意味をあります。
「そばにいて欲しい」
「私の事を支持して」
本作と曲には後者の意味を持って、
コーディを成長させる物語となる。

大人になったコーディが最後に綴った言葉。
「あの12歳の時のような友達はできない」
この言葉は輝いていたあの頃こそが本作だ。

RE-97
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