yukihiro084

スタンド・バイ・ミーのyukihiro084のレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.5
大人になって、昔観た映画を観て
よく驚く。

(ロッキー)がボクシングを扱っている
けど、勝ち負けの映画じゃないんだなって。
(愛と青春の旅立ち)がラブストーリー
ではなく、格差の映画なんだなって。
(E.T.)がSF映画と言うより、喪失から
壊れてしまった家族の再生の話なんだなって。

(スタンド・バイ・ミー)のあの4人は、
居場所がなかったんだなって。
傷付いてたんだなって。
泣くのを我慢してたんだなって。
悲劇や悲惨な環境に立ち向かう術も
力も知らないのに、励ましあい、
なんとか支え合ってたんだなって。

その小さな身体で、その届かない
小さな声で。

苦しかった。観ていて苦しかった。
こんなにも苦しい気持ちになるもの
だったのか。

マトモな大人は1人も出てこない。
クソみたいな大人しか出てこない。
彼らの旅の目的は、死体探し。
別にドラゴンをやっつける冒険の旅
に出る訳ではない。お金もない。
全員のをかき集めても600円ほど。
寝袋も着替えも食料もない。
行方不明の少年の死体を探しに行くのだ。
そんなの、楽しくない。でも
他にいるべき居場所がないんだ。

クリスは、粘り強くゴーディを励ます。
自分が出来ないことを託すように。
粘り強くテディと仲直りをしようとする。
仲直りの握手を。まるでその手を掴んで
いないと、この日々が帰ってこないかの
ように。必死なクリス。

生まれた家は選べない。
生まれた街は選べない。
産んでくれた親は選べない。
戦争とアメフトと偏見と暴力に、
彼らの才能や希望や良心は
今にも消えてしまいそうだ。

クリスやゴーディが、
テディとバーンと組むのもわかる。
テディの真っ直ぐな無鉄砲さや、
バーンの素直な臆病さが、
強くあろう、聞き分けの良い子であろう
とするクリスやゴーディには
羨ましいのかもしれない。

良かったなぁ。
久しぶりに観て、良かったなぁ。

この4人に、バーンがいてくれて
良かったなぁと、しみじみ。
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