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スタンド・バイ・ミーのtnkのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
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数カ月前から今日観ようと楽しみにしてた作品。今さらだけども。


まず90分にまとめることがすごいなと感心。
登場人物が多いわけではないけど一人ひとりの背景がすごく奥深いところにあるからもっと長ったらしくなりかねないのに、的確に人物描写を捉えててみんなを愛せた。

経験のない長い道のりを歩こうと簡単に決めれるのが子供時代。
途中さまざまな困難があるけどゴールを見たくて、そこには必ず何かがあると期待して前を向く。

クリスの「バカは一生続く」って言葉は全てを表してるなと思う。
大人になってもチャラチャラして平気でナイフを子どもに向けてしまうような兄たちが身近にいるクリスの言葉としてはなおさら説得力がある。
そういう存在のせいで自分の未来が見えてしまってるクリスの切ない表情は何とも言えないもの。
そこから抜け出せる可能性のあるゴーディに対して自分の思いを託してるのが深い深い友情だなと。

テディもバーンも好き。テディは自分を強く見せることで父の存在を肯定しようとしてて、でもいざとなればやっぱり怖気付いてしまう。列車と対峙するシーンは傑作だね。テディが大きく写されててるのがテディの子どもなりの誇りと覚悟を象徴してる気がする。
バーンも臆病だけど、怖がりながらも見せる仲間との楽しい時間に対する表情とかたまらない。

今までゴールを知らなかった者たちがゴールを知った途端に「なぜか」とか「何があったのか」と急に振り返り理由を探し始める。それでも答えが出るわけもなく、言い訳や都合のいい理由に逃げて納得するしかない。
それが大人になるってことなのかな。

行き道はあれだけ騒いでいたのが、帰り道は無言で、でも道が少し小さく見えてっていう少し大人になったシーンの撮り方や演じ方がすごく素晴らしかった。

結局ひとりでは何もできない。だから子供時代は可能性に溢れているし、大人になってひとりの時間が増えるほど活力が薄れていき、昔持っていた可能性を遠くから見るだけになってしまう。
それでも踏み出したクリスはすごくかっこいいし、美しい。演じたリヴァーフェニックスも含めて。

まさに人生の教科書ですね。
何はともあれまた一つ歳をとりましたとさ。
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