ぬーたん

スタンド・バイ・ミーのぬーたんのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.2
何年ぶりに観ただろう?
それほど好きではなかった作品だったはずなのに、今回は心にズシンと来た。多分、それは出演者たちのその後にも影響されている。
少年4人の冒険の物語。
その中心の少年ゴーディは、慕っていた兄を亡くしている。
その悲しみと、親とのギクシャクした関係。
冒険に出発するその姿は寂し気で、その心情を思うだけで、泣ける。
辛いのは遺された家族みんなではあるが、生きていかねばならない。
そこに到達するまでの少年の孤独感と傷つく心。胸が締め付けられる。
ウィル・ウィートンが演じた。
線が細く可愛らしい顔だが、気が付けばその後の活躍を知らない。
真面目な少年にピッタリだったが。
ヒルのシーンは可哀想だし、気持ち悪すぎ。
家族のせいでクリスはどうせ誰も自分を分かってくれないと諦めている。
半ばヤケクソだけど、仲間との友情に変わっていく。本当は賢い子だ。
演じたのはリヴァー・フェニックス。
わずか23歳で亡くなった。
ヘロインの過剰摂取が死因。
役と、その姿が重なる。
テディは戦争で心を病んだ父を愛し、中傷には食って掛かる。
気が短く向こう見ず。
演じたのはコリー・フェルドマン。
私生活は荒れていたようで、彼もまたヘロイン中毒。
バーンは太っちょで気が弱い。
ムードメーカー的存在。
演じたジェリー・オコンネルは大人になってからはスラリと細くなり、顔つきも変わり、もはや少年時の面影がない。
キーファー・サザーランドも出ていて、圧倒的な存在感。
彼も私生活は色々あったね。でも超売れっ子になった。
亡くなった兄役はジョン・キューザック。若い!
謎めいた私生活。最近は映画に出ずっぱりの売れっ子。
死体を見に行く、という突飛な目的と、命知らずの線路を歩くという貧乏冒険の旅。
ヒルだの大食いの創作話だの、ちょっと気持ち悪いシーンはかなりのマイナスだけど、旅の途中のアレコレが面白く、見入ってしまう。
ラストがいいね。
じゃあ、またね。という感じで気楽に別れ、でも疎遠になっていく、幼き日の友達。
原作とは異なるそれぞれのその後に、想いを馳せる。
何だかじんわりと泣ける。
誰にでもある、子供の頃の些細な思い出と、大人になってからの現実。
友情と冒険、そして郷愁。
忘れていた『あの頃』の純真さをほろ苦く思い出す作品だ。
そしてもちろん、音楽が素晴らしい。
いつでもどこでも口ずさんでしまう。
いつまでも残る名曲♫がここにある。
ぬーたん

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