2MO

スタンド・バイ・ミーの2MOのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
3.6
懐かしさにはいつも切なさが混じる。
すでに遠く過ぎ去りし日々の思い出。その記憶も少しずつ色褪せ、いつかは消えてしまうのだろう風景は儚く、ゆえに美しい。

時は流れゆく。出会いはいつかの別れを意味する。少年は無垢を捨て、大人にならなければならない。
現在はとめどなく過去へ、過去は思い出に変わり、やがて思い出は物語に作り変わる。「人生は死に満ちている」とは言わないまでも、そこに死のイメージが立ち込めるのは、前途に広がる大いなる闇と、すでに亡き友や父の影が揺らめくからである。

生きるということは、喪失の連続である。ということを初めて認めるのだろうイニシエーション。
大人の世界へと進むために、切断した少年時代の終わりが初めてのノスタルジーとなり得る。その試練を共に乗り越える“悪友”がいたならば、生涯忘れ得ぬ友情とはきっとそういうものだろう。

" Stand by Me "

遠い異国のオールディーズナンバーが、なぜだか僕らの郷愁と重なる。遠い異国の原風景が僕らのそれと重なる瞬間、遠い昔に見た情景が昨日のことのように甦る。
まだ自分が何者でもなく、どこに行くのかもわからない、ゆえに何にだってどこにだって行けたはずの夏の永遠。完璧な瞬間が、完璧な音楽と完璧な沈黙に流れる。まるで蜃気楼のように浮かんでは消え、届きそうで届かないところで、美しく輝いたままで──。

" I never had any friends later on like the ones I had when Iwas twelve. Jesus, does anyone? "
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