Hiver

ジェイン・オースティンの読書会のHiverのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

2008年05月01日 19:58 レビュー

パリから帰る飛行機で二回見たのに
また映画館に見に行ってしまった

最近アメリカでは読書会なるものが流行っているらしく
この映画も英女流作家ジェーンオースティンを
こよなく愛す人たちが彼女の作品について語り合う
というのが話の基本なのだが、
それぞれの人間模様の描き方に共鳴せずにはいられない

独身を謳歌しつつも恋に不器用な犬命のジョスリン、
20年連れ添った夫に突然別れを突きつけられるシルヴィア、
破天荒だけど母親思いのシルヴィアンの娘アレギラ(レズビアン)、
結婚六回してもまだ懲りない前向きで明るいバーナデット、
そして読書会を開くきっかけとなった仏語教師なのに
フランスに行った事がないのがコンプレックスで
体育会系の夫との関係に悩むプルーディ、
そしてジョスリンに一目惚れする読書会で唯一の男子グリッグ。

これといったドラマティックなことがある訳ではないのだが、
山田太一風といえばそんな感じもするドラマ人間模様
@ アメリカ西海岸といったところだろうか。
とにかく見終わると心が軽やかになりハッピーな気持ちで満たされる。
何故ゆえにこんなに惹かれるのか、ちょっと考えてみたところ
テーマとして
「人に寛大であれ、相手を許すこと、そして相手を受け入れること」
という自分自身そうありたいと願ってもなかなか出来ないことが
教訓とされているからなのかもしれない。
とにかく出演者が全員素晴らしいのだが、
とりわけ「プラダ~悪魔」で注目されるようになったEブラントの
精神的に不安定なキュートな女教師は抜群に素晴らしい。
恋に落ちる生徒とのドキドキっぷりは
見ているこっちまで胸が苦しくなる。
そして主役のマリアベロは「ヒストリーオブバイオレンス」
以来ファンなのだが、
今回もお節介で優しいけれど自分のこととなると
てんで奥手な大人な女を等身大で演じているのが良かった。
この人ER出身なのね。
あと何回見ても泣いてしまうのが、
レズビアンのアレギラが小さい時にパパを困らせた話を
恋人に告白するところと
プルーディが冷めきった夫婦関係を修復しようと本を読むシーン。
オープニングの「こういうことってあるよね?ツイてない瞬間20連発」
みたいな始まりから最後に図書館で全員でディナーをしながら
JAZZで締めくくるというのがもうアラフォー世代にはたまらない
大人な女子の映画である


恐らくこれが今年のベスト1な気がする
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