RyukiW

帰らない日々のRyukiWのネタバレレビュー・内容・結末

帰らない日々(2007年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【目を背けてはいけない悲劇、そして一抹の希望】

自動車事故、そしてひき逃げという出来事から、誰にでも起こりうる悲劇、そして日常を一瞬でひっくり返す悲劇を題材に非常に真面目に作られた映画だなという感想を持ちました。

被害者側も加害者側も抱える思いや葛藤、そして正解がわかっていながらも思いが揺らいでしまうこともよく伝わりました。

自分だったらどうだったでしょうか?
加害者側としての正解は「すぐに自首して罪を償うこと」
被害者側としての正解は「法に委ねて、加害者を赦すこと」

しかし、加害者にとっても被害者にとっても希望であった子どもが、そして父親であるという自分が、その正解から遠ざかる行動を引き起こすことになるのです。
希望が悲劇を引き起こし絶望を招いた時、もう一度前を向くためには新たな希望が必要なのです。
苦しみながらもそれは、加害者にとって守ろうとしていた子供であり、被害者にとっては残された家族だったのではないでしょうか?

ラストシーンで、被害者の父が引き金を引かなかったのは、父親として加害者と対峙して、何かを感じ取ったからでしょうか?

他人事ではない話です。自分だったらどうするでしょうか?また自分の家族や友人が、このような悲劇に巻き込まれたらどの視点から希望を与えるべきなのでしょうか?
考えることが止まらない映画でした。


評価を4にしたのは、真面目に作りすぎて映画としてのエンターテイメント性にかけるなと思ったことが原因です。せっかく依頼した弁護士がひき逃げの犯人であったという設定なのにそれをあまり活かしきれていないのが残念だなと感じてしまいました
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