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奇跡のHOのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
4.0
デンマークの田舎町、農場を経営しキリスト教グルントヴィー派を信仰するボーオン家の家長であるモーテンと3人の息子。
長男ミッケルには妻のインガーと2人の娘が。次男のヨハンネスは自身をイエス・キリストだと信じ、家族を悩ませている。三男のアナスは宗派の違う仕立て屋の娘アンネに恋をしている。
モーテンと息子たちの中をとり持つ一家のかすがい的存在であるインガーが待望の男の子を産気付くが、母子ともに命の危機に。そんな中一家に静かに舞い降りた奇跡。


ロングテイク、垂直と水平を強調した室内劇でありながら荒野のシーンを加えることで立体性が生み出させる。身近な宗教を主軸にした非日常だが、どこの家族でも起こり得るのではないかと思わせられる。

邦題では『奇跡』となっており、ボーオン家に起こった一時的な出来事のみを誇張しているようであるため、やはり原題の『ORDET』が相応しいと感じる。

数日で本作の脚本が完成したらしく、映像化したドライヤーの天才ぶりを遺憾なく発揮した名作だ。
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