エリオット

奇跡のエリオットのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
4.8
奇跡が実際起きたのかどうかはこれもよく分からないし、タイトルも「奇跡」というよりは原題の「(神の)御言葉」の方がふさわしいが、この映画に出会えたのが奇跡というくらい完璧な作品ではなかろうか。

ほとんど室内劇(だがわずかに出てくる戸外のロケーションもとても神聖で美しい)、そして演劇的な長回し、横に横に移動するカメラ、登場人物はゆっくり歩きゆっくり話す。
後に映画作りを目指した者たちが必ず真似したであろう完璧な四角形(縦横)の構図が頻出する画面。

「怒りの日」は黒が印象的だったがこちらは白が心に残る。
「怒りの日」はフィルム・ノワールのようだったがこちらは特に終盤サスペンス映画を見ているような緊張感が凄い。

各人が持っている信条(信仰?)が客観的な状況により変化を余儀なくされるが、そこに、気の触れた人間か神か紙一重の者が唱える「御言葉」が重なり、日常かはたまた寓話(神話)か得も言われぬスリリングなシーンが展開する…
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