エンポリオ

BIUTIFUL ビューティフルのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

BIUTIFUL ビューティフル(2010年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

一人の父親として一人の男として一人の人間として彼はどう生きたのか。
もがき苦しみながら己の正義を貫こうとした男の物語。まともな仕事を持たずひび割れた家族を支えていた上に余命2ヶ月のガン宣告を受けてしまったウスバル。確実に死へと向かいながら彼がこの世に遺そうとしたものと遺さないようにしたものはなんだったのだろうか。
生と死の対比というものが至る所で描かれこの作品の骨組みとして機能していた。ガンに伴う不調が顕著に現れだした中盤におけるウスバルが持つ死の空気と彼が訪れたダンスホールが持つ異常なまでの生の空気の交わるシーンにその効果が最も良く出ていたように感じた。
お話の筋書き自体に大きな起伏が無い分、優れた細かい心理描写が多く用いられていた。それによって人間の強さと弱さが婉曲的にしかししっかりと伝わるように描かれていたように思う。
もう少し歳を重ねて自分の立場が変わってからもう一度観たいと思わせられる作品だった。
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