末期ガンを患った男の生き様を描いた作品。「ビューティフル」陰鬱な雰囲気の中で救いようのない物語にも一片の幸せがあるということを教えてくれた作品です。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作ということもあり、不規則なカメラワークや意味深なシーンが多用され、幻想的なイニャリトゥワールドに引き込まれます。
中国人労働者を敷き詰めた部屋や、病を患う男の描写など、過酷な現実を突きつけられて心臓を八つ裂きにされたような失望感に苛まれます。
しかし、男はひとりの父親であり家族を思う気持ちは失っていませんでした。娘の誕生日ケーキ…質素な生活から大きな幸せを生み出します。病を隠す父親に、子供を思う事の誇りと幸福を見出すことが出来ます。
最後のシーンも各々異なった解釈になるでしょう…詩的な台詞と神秘的な光景。感情の奥深くから渦を巻く、そんな作品です。