むっしゅたいやき

橋のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

(1959年製作の映画)
4.0
西ドイツのベルンハルト・ヴィッキ監督作品。
第二次大戦を被侵略国側の民間人の立場から見た作品は多いのですが、当時のドイツ民間人側の視点で描いた作品は寡聞にして多く知りません。
本作はそんな立場(…と言っても後半は兵としてですが)から、戦争を描いた重い作品です。

本作の舞台は大戦終盤のドイツの或る村。
そこで徴兵される、7人の少年達の顛末を著した作品です。
二時間に満たない尺の作品ですが、冒頭から中盤までこれ等少年達の普段の生活や、家族・友人との関係性を一人一人丁寧に描いています。
純粋であるが故に染まり易く、また危うい。
そんな彼等の顛末は、とても胸が苦しいものでした。

本作は彼等の純真さ、各々が大切にしていた物との別れを描く”戦争ドラマ”としての面を持つ一方、後半は戦闘そのものを迫力を以て描き切っており、”戦争映画”としても高い水準を持つ作品です。
音のみ聞こえて中々姿を現さない戦車、塹壕から見た戦車の巨大な圧迫感には、画面を通して息苦しさを覚えました。
またパンツァーファウストの後方噴射による事故も描かれており、少年達の不慣れさと幼さ、結末の哀れさを助長しています。

最早使い古された陳腐な言葉ではありますが、”敵も味方も戦争で一般大衆は誰も得をしない”と云う事を再度脳裏に刻まされる作品でした。
むっしゅたいやき

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