疾風怒濤ぶりでは前作や前々作に劣るものの、常軌を逸した展開は相変わらずで、加えて映像の美しさも白眉でやはりズラウスキーは素晴らしい
特に美しいと感じたのは風にたなびく白いカーテンや海辺のシーン、そしてラストの荒波で、このベルトルッチ作品のように耽美なカットの数々に感動して止まなかった
語られる言葉も詩的で魅力的なものばかりで、それはフランス語の響きの心地良さに大きく由来するものもあるだろうが、特にクライマックスのソフィー・マルソーの台詞は彼女の妖艶な姿もあり魔術的な力が感じられた
こういう不可思議で魔術めいていて、なおかつ芸術的な作品自体目にしてしまうとしっかり物語を綴るようなお利口な映画では物足りなく思えるから少し困ってしまう
しかし狂気の愛でもそうなのだけどソフィー・マルソーの裸が映っても全然興奮しないのは作品自体の力が凄まじいためであって決して自分が不能になりかけているわけではないはずだ