19世紀末に実在したエレファントマンと呼ばれた人物の物語。
生まれつきの奇形のせいで、周囲から差別や偏見の目で見られたエレファントマンことジョン・メリック。そんな彼が一人の外科医との出会いから、それまでの泥沼の人生から希望を見出だしていく姿が感動的。
そんな彼を演じたジョン・ハートの名演が光ります。彼を救い出す外科医を演じたアンソニー・ホプキンスの控え目な演技がまた素晴らしい。
最初から最後まで彼に対する態度を一切変えず、健常者と同じ姿勢で接する優しい人間性に温かみを感じますね。だからこそジョンが心を開き、新しい事に臨める勇気を得たんだと思います。
その一方で元々は医者としての研究のため。そして上流階級の人々へ彼を会わせる姿勢を取っていたのも、見世物小屋と変わらない事を察し、自ら悩み抜いている姿も印象深かった。
そして時代が時代なだけに、人権という言葉もろくに無かったので、彼を虐げる人間が少なくなかったのも憤りを感じます。特にあの夜警の男には胸糞悪さしか頭にありませんでした。彼を演じたあの俳優さん、よくあんな役引き受けたな。笑
そして迎えるラストでは、切なさと優しさが同居するような形で幕が下ります。かなり創作もあるでしょうが、実話を基にしているだけに、深みをかなり感じる一作。 デヴィッド・リンチ監督の代表作なだけに、その完成度を見せつけてくれました。