ろっち

エレファント・マンのろっちのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
4.5
再鑑賞したので書き直しました。
不遇の青年の話。
19世紀のロンドン。妊娠4ヶ月で像に襲われ、形になって不遇で生まれたジョン・メリックは、肥大した頭蓋骨は額から突き出し、体の至るところに腫瘍があり、歪んだ唇からは明瞭な発音さえも出来ない。歩行も困難であった。そんな彼は「エレファントマン」として、見世物小屋の舞台に立っていた。その噂を聞いた医師のフレデリック・トリーブスは、激しく興味を持ち、研究材料として、興行師から借りて学会で発表する。その後興行師の虐待により体調を崩したジョンは隔離病棟に入院する事になった。そして……ってあらすじ。

切ない物語。見た目のみで全てを狂わせられたジョン。実話を順番や病名と生い立ちなどを少し変えて劇的に仕上げた。涙無しでは観られない。展開も切なくて分かりやすくて、モノクロが更に切なさを物語ります。そして、よく見れば大物俳優揃い。映画として上手く仕上がってます。
私が映画好きとなった作品の一つ。大好きな映画です。

では、たまには……リアルの話です。

母は確かにジョンの妊娠中に像に襲われたが、因果関係は無かった。何故なら発病は2歳の頃だった。そしてジョンには姉がいて、同じ病気を患っていた。
ジョンの生まれた家庭は裕福で両親からたっぷりの愛情を受け育つ。普通の行政教育を受け卒業した。日曜学校にも通っていて聖書を愛読。
しかしジョンが7歳の時に母が他界し、しばらくして父が再婚した義母は冷たく当たりるが虐待は無かった。義母とソリが合わない事から、卒業後は家を出る。
その後行商人として働くが、その見た目から子供達にからかわれ商売は上手く行かず、貧困になった為、貧困院に入る。
そこで考え思い付き、手紙で自ら不幸な生い立ちを興行師に売り込み、見世物小屋で生活費を稼ぐようになる。
本編での実母の象に襲われた影響で奇形に生まれた、ってエピソードは、興行師の客引き話を引用している。
移動時のあの服装はインパクトの為に興行師が考えた演出であった。
実際にはもっともっと自由に出歩き、自分の収入で買い物や食事をしていた。
この頃体調不良でトリーブスの診察を受け入院。
特異な例として学会で発表され謝礼まで払われる。そして新聞で寄付金を募り、寄付金で生活費を賄っていた。
しかし、稼ぎ頭を失った興行師に、誘拐紛いに無理矢理に連れ戻され、また見世物小屋で働かせれる事になる。そして、間も無く見世物小屋は警察の取り締まりを受ける。
仕方なく海外に拠点を移すも不評で、組んでいた興行師は、貯金を奪い逃走。
何とかフェリーで帰国する。そして帰国直後に駅で襲われ警察に保護される。ポケットにトリーブスの名刺が入っていた為、警察が病院に連絡。路頭に迷った彼を医師のトリーブスに助けられた。
学会での承認を受け、ジョンは病院で暮らす事となり、再度基金を募りそれを生活費に当てた。
医師のトリーブスの著書と記録、本人の自叙伝、院長の記録を参考に脚本された。
凄いのは実際のトリーブスの甥孫である、フレデリック・ウィリアム・トリーブスが、市会議員役として出演してる。

映画では不幸を水増しして順序を少し入れ替えているけど、殆ど実話通りです。捻じ曲げてるのではなくて、観やすく、分かりやすくしただけです。バラエティなら編集と呼ぶ程度に。
若くして他界した心優しい普通の人間の悲しい人生です。
享年28歳。本名ジョセフ・メリック。

まぁ多くは語るまい(笑)の私が、
「本当に大好きな映画です。批判してるわけじゃなくて、知ってる知識をひけらかしただけです」で、
たまには語る(笑)の巻でした。笑
ろっち

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