mimitakoyaki

ニューヨーク・ニューヨークのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

3.8
ララランドつながりで見ましたが、ミュージカル映画とはまた違う感じでした。
でもジャズがいっぱいで耳に心地よく、音楽の良い映画はええなあと思いました。

ライザ・ミネリ演じる歌手のフランシーヌとロバート・デ・ニーロ演じるサックス奏者ジミーのラブストーリーなのですが、ジミーが身勝手過ぎて引くわーー。
あんな男ぜったいイヤや!
日本との戦争に勝ってお祭り騒ぎのニューヨーク、戦勝パーティでジミーがひたすらナンパしまくるところから、しつこさに辟易…

フランシーヌも髪型やメイクのせいか、めちゃくちゃ美人と言われてるけどどうもそんなには見えないし、はじめのうちは主人公に魅力が感じられず不安に駆られましたが、中盤以降、ジミーの強引なプロポーズで結婚してからの成功と挫折がすごく描かれていて、フランシーヌにとても感情移入しました。

マジのクソ野郎だと思ってたジミーだって、妻の才能や成功に対する嫉妬や、自分のやりたい事がままならない焦りや苛立ち、妻と自分との格差が許せない気持ちなど、鬱屈した思いがわかってくると、その孤独がとても痛々しいし憐れで、不器用にしか生きられない哀しい男なんだなと思いました。

パーティやライブのシーンは豪華だし、何と言っても終盤のライザ・ミネリのミュージカルシーンは素晴らしく、彼女のこれまでの半生を知ったからこそグッとくるんですよね。
本当に心から応援したくなるし、力強い歌声が圧巻でした。

書き割りのセットを使っていたり、最後の長いレビューシーンもララランドの最後を思わせますし、愛してるのに目指すものの違いからすれ違ったり、それぞれのやりたい事の両立がうまくいかずに葛藤し苦悩するというのも共通してるので、なるほどララランドがこの作品から受けた影響を色濃く感じられました。

冒頭のナンパするくだりなんかがやけに冗長だったりするのですが、2人がすれ違う後半からはそれぞれの迷いや怒りや葛藤などがしっかり描かれていたのでとても良かったです。

70
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