あーさん

ニューヨーク・ニューヨークのあーさんのレビュー・感想・評価

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蒸し暑さを吹き飛ばせ!!
ミュージカル映画強化月間 第2弾 宵山

3年前にやったこの企画をもう一度。。
というのも、観れば観るほどまだまだミュージカル作品を観れていないことがわかって、やっぱり集中的に観なきゃ、ということに。

ずっと観たかった今作、
"ニューヨーク・ニューヨーク"。

"LA・LA・LAND"に大きな影響を与えた作品の一つと言われている。

第二次世界大戦直後のN.Y.。
終戦(勝利)のニュースに歓喜の嵐が起こり、号外が配られる。そこには"JAPS GIVE UP"の文字が…。
こういう所からこの時代、日本がどんな見方をされていたのかが垣間見れる。

戦争から帰還したジミー・ドイル(ロバート・デニーロ)は、かなり破茶滅茶なキャラクターとして描かれる。
軍服を投げ捨て、派手なアロハシャツに身を包み、誰彼なしにナンパしまくるわ、戦争で負傷したと嘘をつき、お金もないのにホテルにツケを溜めるわ、、けれど戦後の混乱期、こういう人は結構いたんだろうな。
ジャズのサックス奏者としては腕は立つようだが、性格はデタラメで押しが強く、パーティーで声を掛けられたフランシーヌ・エヴァンス(ライザ・ミネリ)も彼の強引さにはうんざり。。
確かに若かりし頃のデニーロは、周りの目を引くほどかっこ良いのだけれど、余りにもチャラくてしつこくて、、観ている方も嫌な気分になるほど。

だったのだが、、
"ほだされる"とはこういうことなのかな。
その後、偶然ジミーと再会したフランシーヌは満更でもなくなり、彼の支配的な所に押し切られるように二人は急接近していく。

そして、気づけば同じビッグバンド、フランキー・ハート楽団でサックス奏者とシンガーという関係に…。

それからの展開は、まさにやんちゃな子どもとお母さん、というような関係でジミーに振り回されるフランシーヌ、、という図式になる訳だけれど、お腹に子どもができてからの経緯は…よくある話とはいえ、悲しかった。

最初こそ自己中心的過ぎるジミーにイライラして、クズ男じゃないの!フランシーヌ、早く逃げてー!と思っていたが、だんだん私もほだされ、、笑
どうしようもないけれど、愛すべきジミーの魅力にハマっていった。
そう、不器用なだけでジミーはフランシーヌをちゃんと愛していたし、彼女がジミーと同じバンドの歌姫でいられた間は二人のバランスはうまくいっていたのだ。。







ここからちょっとネタバレ。。
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色々あって大ゲンカの末、二人は別れることになるのだが、その後のパートはフランシーヌが歌姫として成功していく作品であり劇中劇『ハッピー・エンド』にかなりの尺が割かれている。
これが素晴らしい!
"ハッピーエンドはスターだけのもの"、としながら、主人公の自分達はハッピーエンドにならない、、というパラドックスのような結末。
でも、"LA・LA・LAND"で感じた、呆然とするようなラストとは違って、こちらの方がやっぱりそうなるよね、、と納得できたかな。

けれども音楽が二人を結びつけ、その音楽が別れる原因となっていくのは、やはり切ない。。

デニーロのサックス演奏シーンもさることながら、ライザ・ミネリの歌のシーンが圧巻!
母(ジュディ・ガーランド)譲りの歌の上手さはもちろん、迫力だったり舞台映えは母を超えているのではないだろうか。
(最も、タイプが全然違うけれど…)

粋なセリフ、凝った演出、素晴らしい音楽、、

スコセッシ監督は音楽ものが得意なようだけれど(ドキュメンタリーなど)、"ロシュフォール…"ほど歌わないから、すぐに歌い出すミュージカルに違和感を持つ方にも観やすいかも。

テンポが悪い、という意見もチラホラ見かけたけれど、それは時代なんだろうな。
スマホも携帯もない時代、1977年の作品だからこれが普通かなと。
少し長さは感じたものの、私は逆に丁寧に
きちんと人物が作られていて観やすかった。テンポが良過ぎると、わかりやすい反面、余韻がないというか、あっさりしすぎて味気なさに繋がるような気がする。
主要な登場人物だけでなく、色んな場面で
色んな人達とのやりとりがきちんと描かれているからこそ、主人公の輪郭が浮き彫りになる。そこが絶妙だなと思った。

とても好きな作品!

スコセッシ監督の作品、他にも追いかけてみたくなった。



フランシーヌが歌詞を書き、ジミーが曲を作った、2人の愛の結晶、、

ライザ・ミネリの歌う、
♪ ニューヨーク・ニューヨークが最っ高!!



*追記
厳密には、ミュージカル映画ではなく、ミュージカル部分を含む映画、、のようです。勘違いしてごめんなさい!🙇‍♀
(というわけで、今作は宵山になりました!)



*MEMO
Our gratitude and respect to
IRVING LERNER
あーさん

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